第20回〜年齢とともに衰える腸機能。どうする!?

 

 

年齢を重ねると、どんな人の体も老化します。

 

当然、多かれ少なかれ内臓の機能も徐々に衰えます。

 

生理的な老化は、腸の運動能力にも影響を与えるので仕方のないことかもしれませんが、できることなら老化スピードを穏やかにして、元気な腸を長く維持したくはありませんか。

 

 

今回は、腸の老化のメカニズムを知り、どうすれば若々しく保つことができるかを考えたいと思います。

 

 

腸年齢が老化すると、腸内腐敗により有害な物質が作られやすくなり、それらが腸管から吸収されて、さらに腸が老化するという負の循環が生まれます。

 

それを食い止めて、元気に肌ツヤ良く、イキイキと人生を長く楽しみたいものです。

 

 

 

高齢者に増加する便秘の原因は?

 

腸の健康に、自律神経のバランスはとても大切

 

女性に多いとされる便秘(3日以上排便がない状態)の症状ですが、厚生労働省の調査によると男性も50代から増えはじめ、75歳以上では男女ともに多くの人が便秘の悩みを持つようになるそうです。

 

単なるお腹の不調と言えど、以前から申し上げているように腸は心(ハートは腸にある!? 最新の腸常識)ですから、便秘がちになると気持ちがふさぎやすくなり、幸福感を感じにくくなります。

 

単にお腹だけの問題でなく、人生の幸福感に直接関わるので、とても深刻ですね。

 

 

便秘には大きく分けて、腸管の基礎疾患による「器質性便秘」と、病気に寄らない慢性的な「機能性便秘」があります。

 

疾患起因の器質性便秘は専門医を受診していただくとして、ここでお話ししたいのは機能性便秘のこと。

 

 

機能性便秘もさらに3つに分かれ、

①大腸筋層の機能が下がって蠕動運動に障害が起こるため便が流れにくくなる「弛緩(しかん)性便秘」

②直腸の反射が悪くなっているため便意を感じづらくなる「直腸性便秘」

③ストレスなどにより大腸の動きが過剰になる「けいれん性便秘」

が、あります。

 

 

高齢者には、特に弛緩性便秘が増えるそうです。

腸を動かすのは副交感神経の働きなのですが、男性30代、女性40代をピークに、副交感神経の働きが低下するためです。

 

ご存じのように、副交感神経は交感神経に拮抗する神経で、両者を合わせて「自律神経」と呼びます。

心拍数を抑えたり、腸管の動きを促進したり、血管を拡張・収縮したりしながら、交感神経とのバランスを取ることで体の機能を保っています。

 

ということは、副交感神経の働きが低下すると、自律神経のバランスが崩れ、体のあちこちに不調が出てくるのですね。

 

自律神経は、健康的な生命維持にとても大切です。

 

では、自律神経を整えるためには、どうすれば良いのか考えてみましょう。

 

 

 

お金も時間もかからない! 自律神経整えライフ

 

自律神経は呼吸器官、消化器官などの生命維持機能をコントロールする、健康の要

 

では、どうすれば自律神経を整えることができるのでしょうか。

 

具体的な生活行動を挙げますので、ぜひ生活改善の参考になさってください。

 

 

まず、朝起きたときにできるのは、カーテンを開けて陽射しを浴びることです。

 

目から、光の刺激を入れることで“ハッピーホルモン”セロトニンが活性化されるからです。

これで体内時計がリセットされ、体に活動するエネルギーが湧いてきます。

 

またセロトニンは、夜になるとメラトニンという睡眠ホルモンに変わります。

その日の睡眠の質は、朝起きたときに決まるというわけです。

 

起きたらコップ1杯の水を飲み、軽くストレッチをして腸を外側から動かしましょう。

いきなり食べ物を入れて内側から刺激するよりも、水で腸の動きを促しつつ外側の筋肉を動かして起こしてあげたほうが、負担が少なくお通じも良くなります。

 

これを習慣化したことで、朝食を食べて家を出るまでの間に最初の便通が来て、スッキリと気持ちよく出勤できる体調になった人もいます。

 

 

次に、栄養バランスのとれた食事をすること。

特に自律神経のバランスに大きく関わる栄養素は、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸「トリプトファン」、ビタミンB6、炭水化物。

 

トリプトファンは乳製品や大豆製品、ビタミンB6は魚、レバー、肉類に多く含まれています。

 

 

そして、腸を元気に保つために、乳酸菌を毎日摂るよう心がけましょう。

 

乳酸菌サプリを習慣づけることも有効です。

 

そして、1日の生活の中に軽い運動を取り入れること。

 

ジムに通ったり、わざわざウォーキングやジョギングの時間を取ったりすることが難しい方は、通勤にウォーキングを取り入れ、お腹にぐっと力を入れて(きついGパンを履くときのお腹にするイメージです)大股ウォークをしたり、遠回りをして歩く距離を伸ばしたりしてみてはいかがでしょうか。

 

 

家に帰ったら、毎日お風呂に浸かることもオススメです。

 

36~40度のぬるめの湯にゆっくりと浸かると、副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。熱いお風呂では交感神経が活発になるため、寝る前にはおすすめできません。熱々のお風呂は、朝シャッキリ目覚めるために利用してください。

 

一日の終わりのリラックスタイムには、部屋の明かりを絞ると自律神経が整いやすくなります。

 

 

就寝前のスマホいじりはブルーライトが良くないとよく言われますが、それはバイオリズムを乱しストレスを与えるから。

 

寝る直前まで昼間のように明るい照明を浴びることも、バイオリズムに悪影響を及ぼします。

天井照明を消して間接照明を増やすなどの工夫をして、自然な入眠体制を整えましょう。

 

疲れを感じた時は、首を温めると自律神経の機能が高まると言われています。

 

首には太い血管が通っているため、そこをピンポイントで温めると全身の血行が良くなるからです。

コリがほぐれ、体がリラックスするので、寝る前にホットタオルなどで行うとよく眠れるでしょう。

 

 

 

薬の多用はかえって病気のリスクを高める!?

 

体のために飲む薬も、6種類を超えると害になる可能性が…

 

最新の研究では、高齢者は薬の種類が増えるほど、かえって体に異常を来す可能性があることが明らかになっています。

 

2019年にNHKで放映されたドキュメンタリーによると、6種類を超えるとそのリスクが一層高まるそうです。

 

その番組の取材では、12種類の薬を処方され真面目に服み続けたたものの体調が悪化し、寝たきりの生活を送っていた女性が、5種類に減らして健康を取り戻していました。

 

女性が闇雲に勝手な薬の選択をしていたわけでなく、12種類の薬はどれも、きちんと受診した病院で処方されたものでした。

なのになぜ、病気を治すどころか寝たきりになってしまったのでしょうか。

 

専門家が言うには、年齢を重ねて内臓の機能が衰えてくると、若い頃は消化できていた薬を代謝しきれなくなり、余分な成分が体内に残りやすくなるのだそうです。

そうすると、一つや二つでは起こらなかった薬の副作用が、複数蓄積されることで起こりやすくなるとのこと。

 

また、そんな“多剤服用”によるリスクは、思わぬところにも及びます。

 

実は、認知症を疑った患者のうち、薬の種類の多さが原因だった人は2割もいたという病院もあるのです。

 

その病院にかかり、薬の種類を減らしたことで、物忘れやガスの消し忘れなどが改善した人もいます。

もともと認知症ではなかったのに、似た症状が出ていたのですね。

 

 

とは言え、どの薬も病気の治療に必要と診断されたもの。

正しく服用し、きちんと代謝されていれば、余計な不調を起こすことなく病気を治療できるはずです。

 

 

何よりも、日々の生活の中で自律神経を整え、腸を元気な状態に保つことが、健康への近道と言うことができそうですね。

 

 

今回は、いつまでも元気な腸を保って望む老後を送れるよう、普段から気をつけていただきたいことをお話ししました。

 

どれも、特にお金や時間をかけなくても、今から実践できることばかりです。

 

腸の健康は心身の健康。

 

どうぞ少し意識して、健康な腸を守ってあげてください。

 

 

では、また次回!