第26回〜脳と腸のとっても密な関係。

 

 

突然ですが…

お腹の調子が悪いのに、気持ちはウキウキとハッピー!

なんて状態、経験したことはありますか?

 

普通はちょっと、考えにくいですよね。

 

お腹の不調は、精神的な不調を引き起こし、気分もすぐれなくなるのが普通です。

 

 

このコラムをずっと読んでくださっている方には釈迦に説法でしょう。

 

「だって心は腸なんだから、当然でしょ?」と思ってくださった読者さまは、腸のことをとてもよくご存じですね。

 

そう。

幸福感を司るハッピーホルモン「セロトニン」は約9割が腸で作られるのですから、お腹を崩して正常に分泌されなくなったら、幸福感が薄れ、心までふさいでしまうのも当然です。

 

ただ、それだけではありません。

 

腸と脳は常に感じたことを互いに情報交換し合う、密接な双方向のネットワークを持っています。

緊張した時お腹が痛くなるという状態は、この関係の濃密さが引き起こすものなのです。

 

 

 

脳と腸の相関関係が、体調をコントロールする。

 

 

腸の機能性の不調は、どこから来るの?

 

腸が感じたことは、絶えず脳に報告され、また脳はそれに強く影響を受けながら、自分が感じたことを腸に伝えるという情報交換。

私たちの体内では、24時間休みなく、そのやりとりが続いています。

 

脳と腸の、そんな運命共同体を「脳腸相関」と言います。

 

そして、この相関関係に狂いが生じた時、腸が不調を引き起こし、放っておくといずれ全身の不調へとつながりかねません。

 

脳腸相関に起因する不調は、「器質性の病気(臓器そのものに炎症やガンがあり、内視鏡検査などで特定できる病気)」に対して「機能性の病気」と呼ばれます。

 

機能性の病気は、明らかに調子が悪いのに診察を受けても異常が見つけにくく、「ストレス」とか「気のせい」とか「疲れてるんでしょう」などと言われてしまいがちな、目に見えづらい疾患です。

 

過敏性腸症候群(IBS)などがこれに当たります。

IBSとは、大腸に腫瘍や炎症もないのに、お腹が痛かったり気持ち悪かったりして、便秘や下痢などのお通じの異常が数ヶ月続く病気で、世界人口の1~2割に認められるほど、多くの人を悩ませています。

 

特に女性に起こりやすい病気で、年齢とともに減ることが分かっています。

「わたしって便秘体質だから」という方、実は機能性疾患かもしれません。

 

そうした脳腸相関のバランスを崩す原因は、さまざまなところにあると言われています。

 

まず、生活習慣の乱れや食生活の乱れ。

それによって引き起こされる腸内細菌の乱れ。

さらに加齢による腸内環境の悪化。

 

また、心的ストレスも原因の一つです。

 

 

 

心的ストレスで腸が不調を起こす理由。

 

心のストレスが腸壁を傷つけ、ダメージから身を守れなくなる!

 

なぜ、目に見えない心のストレスが、痛みや下痢などの具体的な腸の不調につながるのでしょうか。

これには実に物理的な体の仕組みが関わっています。

 

脳は、「イヤだ!!」というストレスフルな感情を処理するとき、視床下部が下垂体を通じてCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)というストレスホルモンを放出します。

 

このCRHは、血流を通じて腸に送られます。

すると腸管壁内の肥満細胞がCRHに反応して弾け、ヒスタミンという化学物質を放出します。

 

ヒスタミンは、腸管内部の粘膜上質という腸のバリアを壊すため、バリアに穴が空いてスカスカになってしまいます。

そこから、細菌や有毒物質が流れ出し、血流に乗ってしまうのです。

 

腸はそれらの有毒物質に反応して炎症を起こし、それを神経が「痛み」として感じるため、「お腹が痛い」という信号が脳に届くのです。

 

「ストレスで胃腸が荒れる」というのは、イメージではなくリアルに体内で起こっている反応なのですね。

 

 

人の体はよくできていて、通常はそんな状態もすぐに回復できるのですが、ストレスが強過ぎたり、あまりに長期に渡ったりすると、腸の緊張は長く続き、有害物質が流れ出し続けることで、それが全身に運ばれ、お腹だけでなく体のあちこちに不調が出始めます。

 

ですから、ストレスや悩み事で胃腸が変だな、と思ったらなるべく心を楽にして、ストレスを解消したり胃腸を労る食事をしたり、気をつけるようにしてくださいね。

 

 

 

腸は危険な外界からの玄関口。

 

何もできない日にも、一つだけできることがあります

 

腸は体の内側にあるものですが、同時に口と肛門をつなぐ管と考えると、常に外界と接している機関でもあります。

ここで食べ物を取り込み、消化・吸収して体内に栄養を供給する、体内への入り口なのです。

 

当然、外界から取り込まれるものには食べ物だけでなく、空気中に浮遊している病原菌やホコリ、ウィルスなどの異物も含まれます。

それらの外敵を体内に入れないよう、腸内の免疫細胞達が常に戦い、倒してくれています。

 

 

先に述べたように、ストレスなどによってこの腸内のバリア機能が壊されて穴あきだらけになってしまうと、外界から入ってきた病原菌やウィルスが体内に入りやすくなってしまうのですね。

 

最悪の場合、全身のさまざまな場所に悪者が侵入し、破壊行動を起こしかねません。

 

その予兆として現れるのが肌荒れや髪の荒れ、抜け、爪割れ、むくみや疲労といった、病名のつきにくい不調の数々。

 

「ちょっと疲れてるだけ」「歳だから仕方ない」と軽く流さず、おかしいなと思ったら、まず腸を意識してみてください。

 

とは言え、心に大きなストレスを抱えているときに、腸活しよう!と言われても、そんな気にはなれないかも知れません。

「バランスの良い食事をしよう」と思っても、出かける気にも料理する気にもなれなければ難しいし、「規則正しい生活をしなきゃ」と分かっていても、ろくに眠れないほど悩んでいたら、それも簡単ではありませんね。

 

 

そんなときは、せめて乳酸菌サプリメントだけでも飲んでみてください。

乳酸菌をしっかりと取ることで、直接、ダイレクトに腸内を改善します。

心が疲れて何もできない時でも、一つはちゃんと良いことをした、という気持ちになることも大事です。

 

 

脳と腸の親密な関係、お分かりいただけたでしょうか。

ストレスで胃腸が荒れるのは、精神論ではなく、とても直接的・物質的な関係があることを気に留めて、日々大切にしていただきたいと思います。

 

腸を大切にすることは、自分を、人生を大切にすること。

 

そう考えると、何を食べようかどう過ごそうかを前向きに捉えられる気がしませんか?

 

 

では、次回も腸活から始まるハッピーライフのお話を、どうぞお楽しみに!