第11回〜腸のキモチになってみると、分かること。

 

 

新型コロナ「COVID-19」の影響で、わたしたちの日常は一変しました。

 

誰もが大なり小なり、ストレスを感じている、しかも終わりが見えない苦難の時代と言えます。

 

そんな中で、よく話題になるのが「コロナ太り」「コロナストレス」「コロナうつ」……。

 

これらはすべて、表面化した症状を名づけたものであって、元をたどれば、言わば“コロナ腸”であり、逆にそれらの先にあるものが“コロナ腸”でもある、と言っても過言ではないとわたしたちは考えています。

 

 

ストレスから食べ過ぎてしまったり、栄養がかたよったり、運動不足から腸の動きが鈍ったり、イライラしたり。

 

それらは腸内環境を悪化させる原因になり、その悪化がさらなるストレスや過食を招く。

 

そうしてそんなストレスや肥満が、さらに腸内環境を悪化させるのです。

 

 

 

便の製造工場に、良い材料を送ろう。

 

良い製品を作るためには、良い材料が必要です

 

ここで、食べ物の消化吸収を行う腸を、「便の製造工場」と考えてみましょう。

 

腸の気持ちを知るために、あなたはその工場長だとしましょう。

 

工場にとって、良い製品を作るために欲しいものは何ですか?

 

それはもちろん、良い材料と十分なスタッフですよね。

便の良い材料になるのは、主に食物繊維豊富な食べ物です。

 

食物繊維は、工場のスタッフである善玉菌の餌となり、悪玉菌の増殖を止めるため、食べるほど腸内環境は良好に保たれます。

さらに、食物繊維は腸内の老廃物や有害物質を体外に排出する役割を果たしますし、腸管の内側を通りながらその壁を刺激してくれるため、便のスムーズな製造の助けにもなるのです。

 

 

食物繊維は、大きく分けて2種類あります。

「水溶性食物繊維」と、「不溶性食物繊維」です。

 

水溶性の食物繊維は、便をやわらかくしたり、有害物質を吸着して排出したりしてくれます。

コレステロールの吸収を抑えることも分かっており、生活習慣病の予防効果が期待できます。

 

バナナやイチゴ、みかんなどのくだものや、わかめ、めかぶ、昆布など海藻類、舞茸、えのき、なめこなどのキノコ類、オクラ、山芋、モロヘイヤなどのネバネバ系野菜などに豊富です。

 

不溶性食物繊維は、水分を吸収してふくらみ、便をなめらかにしたり、腸壁を刺激して蠕動(ぜんどう)運動をうながしたりしてくれます。

 

玄米、雑穀、小麦ふすまなどの穀類や、納豆、ひよこ豆、枝豆などの豆類、ジャガイモ、さつまいもなどの芋類、レタスや白菜などの葉物野菜やごぼう、ブロッコリーなどの繊維質の野菜に多く含まれます。

 

キウイが特にお通じに良いと、話題になったこともありました。

 

 

さあ、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維。

良い便の製造工場が欲しがっている良い材料は、どちらでしょう?

 

 

みなさまお察しの通り、両方です。

水溶性と不溶性、どちらもきちんと摂ることを心がけましょう。

 

つまり、お肉や油やお菓子ばかりを食べず、野菜や果物、豆、海藻などをバランスよく食べる必要があるというわけですね。

 

 

以前にもお伝えしましたが、お肉のタンパク質を摂ることも重要な一方、お肉は窒素を含み悪玉菌が増えるのです。

 

 

ですから食物繊維をたっぷり摂って善玉菌を増やすことで対抗しなければならないのですね。

 

 

 

人員不足にならないように、スタッフを補充。

 

体内の工場は、常に人員不足です

 

せっかく良い材料が手に入っても、工場内で働くスタッフが足りなくて製造が追いつかなかったり、技術力が未熟で材料を扱いきれなかったりしては、意味がありませんね。

 

工場オーナーであるあなたには、良い便を製造する優秀なスタッフを十分な数揃えておく人事の責任があります。

 

 

腸内環境を整えるためには、まず善玉菌そのものを摂取して腸内の細菌を補います。

 

腸はもともと常在菌という専任スタッフを抱えており、彼らが日々便の製造にいそしんでいますが、それだけでは数は十分ではないのです。

 

 

そこで外から乳酸菌を摂るのですが、外部から取り入れる乳酸菌は腸内に留まってくれませんから、毎日きちんと摂り続けることが必要です。

 

ヨーグルトや漬物、味噌などの発酵食品を積極的に取り入れ、足りないときはサプリメントも活用しましょう。

 

 

そして、重要なのはその食べ方。

スマホを見ながら、またはパソコンの前で、作業しながら片手でランチを済ませてしまってはいませんか?

 

それはもってのほかです。

 

忙しくても、食事のときはなるべく食べることに集中してください。

よく噛んで、しっかりと味わうことで唾液が十分に分泌され、体内での吸収が良くなります。

 

 

逆に、飲み込むように食べてしまった食べ物は、十分に口内で咀嚼されていないため消化に時間がかかり、その分腸内に長く留まってしまいます。

 

食べ物は、腸内に長く留まると腐敗しやすくなり、腸管の中にへばりつきやすくなり、悪臭を発しやすくなります。

そうならないためにも、きちんとよく噛んで食べることが大切です。

 

 

 

そろったスタッフを育てよう!

 

従業員の福利厚生もきちんと考える工場になりましょう

 

たくさんの乳酸菌を外から体内に取り入れたら、工場長が必ず考えなければならないのは、従業員の福利厚生です。

 

快適な職場環境を整えることで、スタッフのやる気を最大限に出してもらいましょう。

 

その方法は、プレバイオティクスと呼ばれる、善玉菌のエサとなる成分をたくさん摂ることです。

 

 

それはオリゴ糖類や、食物繊維の一部です。

また出てきましたね、食物繊維。

 

先に書きましたように、食物繊維は良い便の材料そのものでもありますから、決して欠かすことができないということが分かりますね。

 

 

食事は毎日のことですから、献立を考えるたびいちいち「水溶性食物繊維が含まれる食材は……」などと言い出したら、とても面倒なことになってしまいます。

 

ですから、何か習慣化しやすいシステムを作ってしまえると良いですね。

たとえば、食物繊維の入った乳酸菌サプリメントなら習慣化しやすいでしょう。

 

 

ほかに家で、また出先やオフィスで、習慣化しやすい工夫の例を挙げてみます。

 

・ご飯に水溶性食物繊維の豊富な大麦を混ぜて炊く

 

・すぐき漬けやキムチの入った保存容器を、毎食必ず食卓に出しておく

 

・冷蔵庫にたまねぎドレッシングを常備して、毎日サラダにかける

 

・おやつをベジタブルチップスやごぼうスナック、豆菓子にする

 

・デザートはヨーグルトに決めて、ジャムやドライフルーツ、蜂蜜で変化をつける

 

・夜食は納豆にする。足りないときはキムチ納豆にする

 

・ランチに必ずカップ味噌汁を添えて、乾燥わかめをひと匙プラス

 

・デスクの引き出しにわかめふりかけを常備し、お弁当のご飯に混ぜる

 

 

食事において何より大切なのは、栄養バランスです。

腸内フローラというのは、さまざまな細菌がいる状態が理想。

 

食事の偏りは、細菌の種類を減らすことにつながります。

 

 

また、偏食を続けることで、腸内フローラが多様性を失っていくという研究もあります。

 

 

丼やカレーなどの単品でお腹を満たすような食事でなく、なるべく定食やコースなど、さまざまな食材をいただけるメニューを心がけたいものです。

 

洋食より和食、お肉より野菜メイン、という風に毎日の選択を変えることが腸活になり、製造工場の質を高めます。

 

 

 

「コロナ太り」や「コロナうつ」を引き起こす“コロナ腸”にならないために、できることはまず毎日の食生活の見直し、というお話でした。

 

 

第10回〜ハートは腸にある!? 最新の腸常識。」で書いているように、

腸と心はつながっているどころか、腸自体が心そのものなのですから、良い食事はかならず心まで元気にしてくれます。

 

 

 

今回は、ここまでです。

 

次回も乳酸菌と腸活のお話を、なるべく分かりやすく楽しくお届けしますので、どうぞお楽しみに!