第2回〜今日から始める! 腸活のいろは
突然ですが、「腸活」してますか?
ときどき聞く言葉ですが、どんな活動なのでしょうか。
腸活が必要な人とは、何も毎日のお通じに悩んでいる人だけではありません。
太りやすい人、花粉症の人、お肌の衰えを感じている人、何となく気分が沈みがちな人、ストレスを感じやすい人、その他さまざまな方に、ぜひ今すぐ始めていただきたい、それが腸活です。
さて、何をすれば、どんな良いことがあるのでしょう。
腸には、あなたを守る大家族が棲んでいる。
ヒトの腸の長さがどのくらいあるか、ご存知ですか?
わたしたちのお腹の中には7~9mの小腸と、1.5mほどの大腸があり、小腸は十二指腸、空腸、回腸。
大腸は盲腸(虫垂とも呼ばれます)、結腸、直腸に分かれます。
その長い長い腸の中に、いわゆる常在菌が100兆個、重さにして約1.5kgも棲んでいるのですから、腸内って大変な大所帯です。
全部で1000種類もいるという腸内細菌のことを、色とりどりの花畑にたとえて「腸内フローラ」と言いますね。
これらの細菌は、常に連携を取り合い、体内の環境を整え、絶え間なく新たに生まれたり便となって排泄されたりしています。
「食べたものがうんちになる」と思われていますが、実は健康な成人の大便のうち80%は水分、残る20%のうち1/3が食べたもののカス、1/3が腸内細菌、1/3がはがれた腸粘膜なんだそうです。
髪が抜けたり古い角質が落ちたりするように、体内でも古い組織は剥がれ落ちて入れ替わっているのですね。
そして、古い角質が落ちずに新しいものが生まれにくくなると、『肌の透明感』がなくなりカサカサと荒れてゆくように、体内の組織入れ替えが滞ると、あちこちに不調が現れてくるというわけです。
大人の体も「食べたもの」で作られる。
成長期の子供の体が、毎日の食事で作られることは容易に想像できますが、もう身長も伸びきって完成された大人の体にとって、食事はガソリンみたいなもの、という気がしませんか?
今さら、飲んだ牛乳が骨になり、背が伸びることはもうないでしょう。
でも、前段でお話しした「うんちに占める食べ物のカスの割合」を考えてみてください。
全重量のたった6~7%程度とは、実に少ないと思いませんか?
それ以外は、すべて体に吸収され、組織の一部になっているということです。
そう。
大人の体も、ちゃんと日々食べたもので作られているんです。
だから、「お腹に貯まれば良い」「体が動けば良い」なんて乱暴な食事はしないで『毎日、何で自分の体を作っていくか』を、ていねいに考えて食べる必要があります。
たとえば、すべての組織の材料となるタンパク質をしっかり摂らなければ…
肌は荒れるし髪は抜けます。
筋肉も衰え、骨折もしやすくなります。
貧血になったり、細菌・ウイルスにも感染しやすくなります。
逆に言えば、日々良いタンパク質をしっかり食べることで、何歳になってもずっと体を新しい状態に維持できるのです。
ヒトの体って、すばらしいですね。
ちなみに、下記に当てはまる人は、タンパク質が不足しがちかも知れません。
・野菜中心の食生活で、お肉、卵はあまり食べない
・丼物や麺類だけで食事を済ませることがある
・肉体労働をする方
・スポーツをよくする方
・成長期の子供
・妊娠・授乳中の方
日本人の食事摂取基準2020年版によると、成人の1日のタンパク質の目標摂取量は、身体活動レベルにより変わりますが、男性で75g以上、女性で57g以上となっています。
皮付きの鶏もも肉300gで58.5gのタンパク質量ですから、毎日しっかりとお肉や卵を食べる必要があるということですね。
体をよく動かす人や成長期の人、妊娠・授乳をする人は、それ以外の人より多くのタンパク質を必要とします。
食事で摂ることが難しい日も、プロテインを飲むなど意識して補いたいものです。
腸内に悪玉菌を増やすのも、タンパク質?!
さあ、タンパク質をたくさん摂った方が良いとわかって、お肉好きの人は喜んでいるのではないでしょうか。
よーし、今日はステーキをたくさん食べよう!
ちょっと待ってください!
ここで、残念なお知らせがあります。
実は、タンパク質を摂りすぎると、腸内環境は悪くなるんです。
タンパク質には窒素が含まれ、これが悪玉菌のエサになるからです。
前回のコラムにも書いた通り、腸内には善玉菌と悪玉菌と日和見菌が棲んでいます。
その割合は健康な人で2:1:7。
この、7割を占める日和見菌は、数が多い方の味方をするので、悪玉菌が増えると腸内環境は悪化してしまうというわけです。
ヒトが大腸の中に持っているビフィズス菌の量は、授乳期をピークにどんどん減少します。
もうすでに、足りなくなっているかも知れません。
じゃあ、どうすれば良いの?!
ここで善玉菌の強い味方になってくれるのが、自身が善玉菌の代表格である「乳酸菌」なのです。
今すぐ「貯菌」をはじめよう!
タンパク質を摂るときは、乳酸菌もしっかり摂りましょう。
腸内に乳酸菌を送りこんで、善玉菌の数を増やせば、数が多い方の味方をする日和見菌は善玉菌側について、悪玉菌が棲みつくスペースを狭め、増えにくくしてくれます。
このときの腸内フローラ・あなたのお花畑は、今を盛りと咲き誇る、色とりどりの花が咲き乱れているような美しい状態です。
この花を枯らせて、虫食いやしおれた花ばかりの状態にならないよう、しっかりと栄養をあげるのです!
乳酸菌やビフィズス菌は、直接免疫調節機能にはたらきかけますので、花粉症などのアレルギー症状を起こす、免疫システムの暴走も改善してくれます。
ただし、前回のコラムでもお話しした通り、摂取した乳酸菌は腸内にとどまってはくれませんので、毎日摂り続ける「貯菌」が大切です。
入れても入れても菌額は増えてくれない、一見せつない貯菌ですが、花に水やりをするように、自分の花畑をお世話する意味で、とても重要なのです。
食事で摂りづらいときは、サプリメントが便利ですね。
乳酸菌サプリメントとプロテイン。
習慣化するととても安心です。
乳酸菌にも、エサやりを。
乳酸菌は腸内環境を整えますが、人間と同じで腹ペコではたらくよりも、しっかり食事をしたときのほうが、より良いはたらきをします。
つまり、乳酸菌のエサになるものを一緒に摂ることで、より効果を期待できるのです。
エサになるものとは、主に食物繊維、オリゴ糖など。
食物繊維の中には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」がありますが、便秘にお悩みの方は便を柔らかくしてくれる水溶性、便の量を増やし腸をしっかりと動かしたい方は「不溶性」を摂ると良いとされます。
善玉菌を増やすのは、水溶性食物繊維です。
上の写真を見ると、忙しい毎日の食事できちんと摂り続けるのはちょっと難しいな、とお感じになる方もいらっしゃるかも知れませんね。
その場合は、やはりサプリメントが便利です。
その際、「難消化性デキストリン」「イソマルトオリゴ糖」などのプレバイオティクス(すらっとちょう美人コラム〜「知ってるつもりで意外と知らない乳酸菌のこと〜乳酸菌とそのエサはセットで摂る!」参照)を含むサプリメントを選ぶと、さらに良いでしょう。
また、腸のはたらきをコントロールするのは自律神経ですので、適度な運動と休息、疲れやストレスを溜めない生活も重要です。
自分に合ったストレス発散法を見つけたり、深呼吸して体をリラックスさせたりすることも、きちんと行ってくださいね。
腸内であなたを守る、お花畑。
毎日の食事とストレスのない生活で、しっかりと咲かせ続けたいですね。