第9回 〜マスク時代にも輝く肌を作る、腸のはたらきを知ろう。
マスクで隠せるからノーメイクで過ごせる、という声が聞こえる一方で、マスクのせいで肌が荒れる、という声も絶えない、昨今。
お肌の調子はいかがですか?
マスクによって起こる肌荒れとしては、まず
特定の箇所が繰り返しこすれることによってできる、シミ
が考えられます。
また、呼気がこもることでマスク内が蒸れて、
雑菌が繁殖しやすくなりできやすくなる、ニキビや吹き出物。
マスクを着けたり外したりすることで
水分量が激しく変動し、引き起こされる乾燥。
あまり口を動かさなくなることで
表情筋が落ちて起こる、頬のたるみ。
しかし、マスク生活で引き起こされる肌の不調は、そんな表面的な話ばかりではないのです。
今回は、肌と腸の関係のお話です。
そのニキビ、そのくすみ、腸のせい!?
まず、外的要因によって起こる肌トラブルのお話から。
いつも同じ場所にマスクが当たることで、その部分だけがこすれてシミになってしまうという肌トラブルがあります。
それは、刺激から肌を守ろうとして、メラニン色素が分泌されるから。
肌の防衛本能ですが、あまりありがたくないですね。
肌触りの優しいマスクを選び、サイズの合わないマスクで過剰に刺激を受けないよう、気をつけましょう。
また、呼気で蒸れることによって雑菌が繁殖しないよう、マスクは常に清潔なものを使用し、着けている間は手で触れないようにも気をつけたいものです。
マスクの表面には雑菌が付いています。
その部分を触った手でマスクを外し、うっかり内側を触ると繁殖が起こりかねません。
マスクを外す時は、ゴムの部分を小指で引っ掛けるようにして、表面に触らないよう注意してくださいね。
また、外したマスクをあちこちに置いたり、何度も同じマスクを使いまわしたりしないよう気をつけましょう。
マスク以前よりも丁寧な洗顔も、心がけたいものです。
保湿も然り。
水分は、蒸発するときに周辺の水分を奪います。
つまり、水が乾いたら、その部分は以前より乾燥するのです。
マスクの中にこもった呼気の水分は、マスクを外したときもともとあった水分まで奪いながら乾燥します。
着脱のたびに、どんどん肌の内部は乾燥してしまうのです。
例年よりも、より丁寧な保湿対策を取ってくださいね。
さて、外的要因の話はこのくらいにして。
今回のメインは、体の中で起こっていることの話です。
実は、マスクを使用することによって起こる上記のような外的刺激に関しては、健康な肌ならば、それに負けないくらいのバリア機能を持っています。
元気一杯のお肌なら、マスクを着けた程度で調子を崩すことはないはずなのです。
ですが、多くの方の肌荒れに悩む声が聞こえてくるのは、どうしたことでしょうか。
一つ考えられるのは、食生活の変動と運動不足による、腸のぜん動運動の低下。
外出自粛やリモートワーク、スポーツジムの休業などで、運動量が以前より減ってしまったことにより、食欲が湧かずに食事量が減った人は多いはず。
さらに、ストレスから甘いものや脂っこいものを食べてしまうことで栄養バランスが崩れやすくなります。
運動不足は、物理的に腸に影響を及ぼします。
適度な運動を行わないことで、腸の動きが鈍り、腐敗物質が体内に長く留まることで、肌荒れが起きるのです。
また専門家によると、肌悩みの元凶は、実はストレスの可能性もあるそうです。
人は、ストレスを受けると腸内環境が乱れることが分かっています。
「第5回 この冬、抗菌ボディになる! 外敵に負けない体づくり」で申し上げた通り、腸には、全身を守るための免疫訓練場の機能があります。
バイ菌やウィルスなどの外敵を入り口でせき止めたり、侵入して来た外敵をすばやく見つけて、悪さを始める前にやっつけたりする機能を持つ腸が、マスク時代のストレスで弱ってしまうことによって、その暴走を止めにくくなってしまうのですね。
わたしたちは、新型コロナウィルスに侵されなくても、大なり小なりダメージを受けていますよね。
体はいたって健康でも、外出するたび感染に怯え、家族を心配し、会いたい人にも満足に会えず、生活の面にもさまざまな影響を受けている人がたくさんいます。
皆さんには、マスク時代以前よりも丁寧に繊細に、自分をいたわってあげていただきたいです。
スキンケアはもちろん、腸活も、とても重要ということです。
では具体的に、何をすれば良いのでしょうか。
肌を荒らす悪玉菌を、やっつけろ。
特定の腸内細菌の代謝産物に、フェノール、パラクレゾールという名の腐敗産物があります。
フェノール類の一部は便といっしょに体外に排泄されますが、多くは腸管から吸収され、血液内に入ってしまいます。
それが皮膚に届き、表皮ができる過程に悪影響を及ぼすのです。
つまり、フェノール類が増えると肌が荒れるというわけです。
フェノール類を増やさないためには、どうしたら良いのでしょうか。
ある研究によりますと、小腸での消化・吸収に耐えたお米のデンプン「レジスタントスターチ」が、大腸のすみずみにまで届き、発酵して、ブラーバとして腸内環境を整えることが期待され、フェノール化合物の発生量も低下させることが明らかになったそうです。※1
レジスタントスターチが多く含まれる食品は、他にもライ麦パン、グラノーラ、バナナ、インゲン豆、オーツブランなど。
また、ビフィズス菌発酵飲料の飲用により、フェノール濃度は優位に低下したという研究成果も報告されています。※2
ビフィズス菌を含むヨーグルトやサプリメントなどで、こまめに補給することが、腸の健康を支え、肌の美しさを守ることは、科学的に立証されているのですね。
ぜひ、今こそしっかりとビフィズス菌を摂りましょう。
冷たいヨーグルトでお腹を冷やしたくない方は、サプリメントで摂るという手もありますよ。
※1 NO RICE NO LIFE 腸にはたらく米(全農公式)
https://noricenolife.jp/narukome/narukome04
※2 ビフィズス菌発酵乳が肌荒れを改善 ~腸内環境と肌荒れの関係を科学的に解明~ (ヤクルト)
https://www.yakult.co.jp/news/file.php?type=release&id=135996845498.pdf
美肌と納豆の深い関係。
また、日本のスーパーフード、納豆も無視できません。
納豆は、わたしたちの体に必要な栄養の宝庫。
ざっと数えただけでも、老化防止や新陳代謝の向上が期待できるポリアミンや、女性ホルモンのバランスをサポートするイソフラボンに加え、善玉菌のエサになる食物繊維や肌荒れの改善に役立つ大豆レシチン。
これだけの有効成分がぎゅっと詰まっています。
そして何よりも、ナットウキナーゼ。
血栓溶解酵素が含まれているため、心筋梗塞や脳卒中の予防効果で注目されていますが、つまりは血液をサラサラにする成分ということ。
ドロドロの血は流れも悪い。
サラサラの血液が元気に体内を駆けめぐることで、体のすみずみにまで酸素や栄養が行き届き、健康を保ったりお肌の生まれ変わりをスムーズに促進したりするのです。
納豆は朝食の定番ですので、毎朝食べている人もいらっしゃると思いますが、肌の生まれ変わりゴールデンタイムは深夜と言われています。
実は、美容の面でも納豆は夜食べる方が有効なようです。
心筋梗塞や脳卒中も、深夜帯の発生が多いため、夕飯の納豆食を勧める医療専門家は多いですね。
夜、あまり納豆を食べる気分になれない方は、ナットウキナーゼ入りのサプリメントで補う方法もオススメです。
今回は、長引くマスク時代にこそ知りたい、お肌と腸の関係についてお話ししました。
肌荒れはマスクだけのせいではないこと、マスクをしていても美肌は作れることを、お分かりいただけたと思います。
できることから少しずつ、試していただければ幸いです。
朝、鏡を見たとき昨日より肌が明るくなっていたら、きっとその日一日を気持ちよくスタートできるでしょう。
そうやって明るい気持ちで笑顔で過ごしていれば、多少の困難は楽に乗り越えられるはず!
前代未聞のこんな時代ですが、ぜひいっしょにがんばって生きて行きましょう。
次回も、強く明るく生き抜くための、乳酸菌と腸活のお話をお届けします。