五行説からみた「土用」時期の健康的な暮らし方

体調を崩しやすい季節の変わり目、「土用」の健やかな過ごし方

『土用の丑の日』、スーパーの食品コーナーに鰻(うなぎ)が目立ってきましたね。

私も鰻(うなぎ)が大好きです!

私の生まれは田舎の為、空気も水も綺麗で、子供の頃は父が川で取った鰻がその日の食卓に出されていました。

今思えば、なんて贅沢なのでしょう!!

もっと味わっていれば良かったです。

 

 

さてさて、話は変わりますが、医学知識のなかった大昔、2千年以上も前に誕生した現存する中国最古の医学書『黄帝内経』(こうていだいきょう)には、「昔の人は、百歳をこえても衰えはなかった」という記述があります。

「健康寿命」そのものです!

 

何故、昔の人は、百歳をこえても衰えず「健康寿命」が長かったのでしょう。

 

それは「養生」の事をよく心得、「自然の規則」に応じて暮らしていたからだそうです。

 

自然界の様々な現象(暑い、寒い、乾燥、湿気…など)に適切に、向き合い、理解し、対応した生活、自然と調和して生きることの大切さを心掛ける。

 

養生(ようじょう)とは、本来のあるべき姿でいられるよう「保護」をすることで、対象が人の場合は、健康に注意して元気でいられるように努めること、病気や怪我の回復に努めることという意味になる。

【養生の由来】

養生の「養」の字は「羊」を「食べる」という部位で成り立っている。そして「生」という字は「芽生え」を由来としている。「誕生した(芽生え)命を食べて元気をつける」という二文字の組み合わせによって、養生は「元気でいる・元気になる」という意味を持つようになった。    実用日本語表現辞典

 

健康に留意して元気で居られるよう「養生」をよく心得、自然と調和した暮らしを心掛けることで、心身ともに健やかな「百年の寿命」を全うすることが出来るのです。

 

まだまだこれからの長い人生「健康寿命」を延ばすためには、『その時々に応じた「過ごし方」を意識すること』が秘訣になるのかもしれませんね。

 

と言う事で、前置きが少し長くなりましたが…(^^;)

今回は、不思議と体調が不調になる季節の変わり目、「土用の過ごし方」をテーマにお話したいと思います。

 

 

土用(どよう)とは、どんな時?

前回のコラムに書いたように、「土用」とは東洋思想の五行説(ごぎょうせつ)に由来する、暦の雑節(ざっせつ)です。

 

五行説では季節と季節の変わり目を「一つの季節」と捉え、季節の変わり目をより適確に掴むために設けられた、特別な暦日のことを「土用」といいます。

 

現代では、一般的に鰻で有名な夏の「土用」を指すことが多いのですが、季節の変わり目ということになれば、「土用の期間」とは元来、一年に4回あると言えます。

 

 

2020年の夏の「土用の期間」とは、7月19日〜8月6日までの19日間です。

ちなみに「土用の丑の日」とは、この期間中の丑の日の事で、2020年は7月21日と8月2日の2日間です。

 

この期間は、季節の変わり目である為、体調を崩しやすく、不安定に陥りがちになるんです。

 

不注意からの事故、眠気やダルさ、ヤル気がでない、ネガティヴな思考…etc

 

 

「季節の変わり目は身体が弱る」と誰かが話しているのを耳にした事はありませんか?

 

季節の変わり目、「土用」の期間は養生が必要なのです。

 

 

 

五行説から見た「土用」の時期の過ごし方のヒント

この表を見て頂くと、五行説で説かれる万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなり、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが根底にあることが分かります。

 

それでは数多くの五行説の項目の中で、土用について2点挙げてみます。

 

☆「土用」の方位

「土用」は特定の方位では無く、中央に位置すると考えられています。

 

この時期は他方からの刺激や情報ではなく、「やりたい事」や「好きな事」など、自分の心の中と向き合うのに良い時期です。

この事は『自分の魅力の再確認』に繋がりますね。

季節の変わり目である「土用」の時期に、自分と向き合うことで心を耕し育んだものが、次の季節を迎えたときに「良い現れ」として感じられるといわれています。

 

 

☆「土用」の時期の内臓

対応する臓器は、脾臓と胃です。

脾臓と胃が活性化すると共に、壊しやすい時期とも言えます。

季節の変わり目に「胃腸が弱る」という話もよく耳にします。

次に来る夏の季節は「心臓」と「小腸」になりますから、夏の季節の事も踏まえ「胃腸」を強化する食事を心がけていきましょう。

 

 

☆「土用」の時期のオススメ食材

・枝豆…枝豆は胃腸と心臓を元気にし、むくみをとり、便秘解消にも良い食材です。

気力充実にも一役買ってくれます。

 

 

・豆腐…慢性的な胃炎をやわらげます。

ストレスの軽減や更年期障害にも最適です。

 

 

・とうもろこし…胃の働きを高めます。

また、土用に対応する色は黄色。ぴったりの食材ですね。

 

 

・舞茸…胃腸の働きを助けます。

 

 

 

もちろん、うなぎも滋養強壮が高まりオススメです。

 

 

また、丑の日はうなぎの他に「う」のつく食べ物が良いと言われています。

牛(牛肉)、瓜(うり)、うどん、うずら・ウニ、梅干し、ウィンナー…..

 

食事は基本的に、自分の生まれ育った土地で取れた旬の物を頂くのが一番理想とされます。

 

体に必要な物が、その時自然界には育つようになっているのですね。

 

 

 

「土用」の時期は、旅行や土いじりをなるべく避ける

土用の期間は「土公神(どくしん)」という、土を司る神様の力が大きくなると考えられています。

その為、この期間中は「土いじり」に始まり、土木工事をするのは避けるべきと言われています。

 

私たちの身近な事だと、何かを新しく始めたり、決断したり、引越し、旅行に出かけたりと言う事を控えた方が良いようです。

 

しかし、間日(まび)と言われる5日間は大丈夫だそうです。

 

間日→7月23日、24日、28日、それと8月4日、5日

 

 

 

体調を崩しやすい季節の変わり目「土用」の過ごし方〜まとめ

「土用」は、季節の変わり目で不安定な時期だけに、意識したいのは「安定」「平穏」です。

心と身体、環境のメンテナンス。

そして土の気は、次の為のエネルギーを育む力です。

この時期の過ごし方で、もうそこまで来ている猛暑を迎える心身が変わってきます。

 

大切なのは、「健康な身体と精神でイキイキ、ハツラツと暮らす」 こと。

「養生」をよく心得て、自然と調和した暮らしを心掛けることで、心身ともに健やかな「百年の寿命」、「健康寿命」を全うすることできるのです。

 

過度な運動や食事制限、逆に暴飲暴食を避け、夏バテ知らずな心身でアツイ夏を迎えましょう ^_−☆