第3回〜その数、400種以上! 乳酸菌を知ろう

 

 

このコラムの第一回目でも触れましたが、乳酸菌とは、“ブドウ糖や乳糖などの糖類を発酵してエネルギーを作り、多量の乳酸を作る菌”の総称、つまり一種類の菌の名ではなく、複数の菌を指す言葉です。

 

では、どのくらい種類があるかというと、タイトルにある通り、実に400種類以上。

 

どんな菌があって、どんな役割を持っているのでしょうか。

 

 

 

こんなにあるの?!奥深い乳酸菌の世界。

 

 

 

ちょっと専門用語が続きますが、ヒトの体内に常在菌として棲んでいる乳酸菌は、各種ビフィズス菌、アシドフィルス菌です。

これらは「善玉菌」と呼ばれ、腸内環境を整えるわたしたちの味方。

 

 

乳酸菌の名前は「属・種・株」と性質によって分類されるのですが、現在までに命名されている乳酸菌は26属、381種50亜種あります。

 

「ラクトバチルス属カゼイ種シロタ株」

 

とか、

 

「ラクトバチルス属ガセリ種LG21」

 

とか、

 

聞き覚えがありませんか?

 

そう、ヨーグルトに入っていることで知られていますね。

 

 

長く覚えづらい名前が多いため、

 

“プラズマ乳酸菌(正式名称は「ラクトコッカス属ラクチス種JCM5805株」と言います)”

 

など、親しみやすい通称がつけられているものもあります。

 

 

 

あなたにぴったりの乳酸菌は、どれ?

 

 

 

おびただしい数の乳酸菌の中でも、特にヒトの健康に役立つと注目されている乳酸菌には、次のようなものがあります。

 

ビフィドバクテリウム

いわゆる「ビフィズス菌」のこと。

プロバイオティクスとして、サプリメントにもよく使われます。

新生児の腸内フローラに多く生息し、腸の発達を助けると考えられています。

生きて腸まで届き、腸内環境を整え、便秘を解消すると考えられます。

 

 

ラクトバチルス・ガセリ

ヒト腸内乳酸菌の代表。ピロリ菌を抑え、その数を減らすと言われています。

消化性潰瘍、胃炎などの症状を改善させたり、予防したりするとされ、胃の中で活躍する菌です。

 

 

ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス

カスピ海ヨーグルトの粘りのもととなっているプロバイオティクス乳酸菌。

生乳やチーズ、バターなど発酵食品からよく検出されます。

アレルギーの緩和や美肌、免疫の調整などの健康効果が認められています。

 

 

ビフィドバクテリウム・ロングム

酸に強く、生きて大腸まで届いて大腸内の善玉菌を増加。

腸内環境の改善に役立つ乳酸菌です。最近、花粉症の症状を軽くするという研究結果も分かってきました。

継続的な摂取が望まれます。

 

 

ラクトバチルス・デルブレッキ・サブスプ・ブルガリカス

ブルガリア出身の医学部生が発見したという細長い乳酸菌。

乳の中にしか含まれない乳糖を好み、ヨーグルト、チーズなど酪農製品限定で生息します。

ブルガリクス菌はヒトの腸内に定着しないため、継続摂取が必要です。

 

 

人それぞれ、体内に棲んでいる乳酸菌の構成が違うため、合う乳酸菌も違います。

また、サプリメントに関しては、多くの種類を入れれば入れるほど高額にもなります。

 

「便秘がなかなか治らない」「サプリメントも試したけれど効かなかった」とお悩みの方は、地道にそれぞれの菌が含まれた食品やサプリメントを摂取し、体調を観察すれば、相性の良い乳酸菌を見つけることができるかも知れません。

 

 

 

どのくらい摂取すれば? 乳酸菌は多いほど良いの?

 

腸内に乳酸菌を送りこんで、善玉菌の数を増やそう!

 

ヨーグルトやサプリメントの中には、「1粒100億個」とか「1袋に3兆個」とか、乳酸菌の数の多さを謳っているものもよくあります。

 

億、兆などと言われると何だかとても良さそうですが、実は、数の多さはあまり重要ではありません。

 

わたしたちの腸内フローラには、もともと100兆個の細菌が棲んでいるのですから、1億個の菌を送り込んでも、100万分の1。

0.0001%くらい菌を増やしたところで、焼け石に雀の涙…

それで劇的に環境が変わるわけではありません。

 

 

そもそも、投じた菌が全部、生きたまま腸に届くわけではないのですから、実際に腸内で働く菌は、天文学的に微々たる数というわけです。

 

そこで大切なのは、菌そのものの数よりも、菌が作り出してくれるもの。

 

冒頭でお話しした通り、乳酸菌はブドウ糖や乳糖などの糖類を発酵してエネルギーを作り出します。

大切なのは、そのエネルギーなのです。

 

つまり、菌が効率よく働いてくれる環境づくりが重要というわけです。

 

 

そこで、前回(※第二回〜今日から始める!腸活のいろは)でも触れた、乳酸菌のエサとなる「プレバイオティクス」の存在が活きてきます。

 

代表的なのは、水溶性食物繊維です。

「難消化性デキストリン」「イソマルトオリゴ糖」などを一緒に摂ることで、乳酸菌は元気いっぱい働きます。

 

 

サプリメントを選ぶ際に、こうした表記があるかどうか、確認していただくと良いでしょう。

 

 

 

日本発の乳酸菌・シールド乳酸菌が守るもの。

 

 

「盾」と名付けられたシールド乳酸菌

これはヒトの腸内にも生息するラクトバチルス・パラカセイのこと。

 

森永乳業が長年の研究から発見し、保有する数千の菌株の中から免疫力を高めるはたらきに注目して選ばれ、盾のように外部からの敵を防御することをイメージして名付けられました。

 

シールド乳酸菌は、ほかの乳酸菌と比べて、より免疫を活発にすることがわかっています。

また、マウスにインフルエンザウィルスを感染させ、その症状を観察したところ、シールド乳酸菌を与えたマウスの方が、何もしないマウスよりも症状が軽くなることが立証されました。

 

そうした健康への作用により、アメリカにおいて一般的に安全と認められる食品としてGRAS認証を取得したのです。

 

現在、この日本企業の発見した健康に有用な乳酸菌は、さまざまな食品やサプリメントに活用され広がっています。

 

※シールド乳酸菌Ⓡは、森永乳業株式会社の登録商標です。

 

 

 

 

 

今回は、専門用語が多くて少し読みづらかったのではないでしょうか。

 

乳酸菌って、名前が難しいので抵抗を感じられるかもしれませんが、理屈はカンタン。

 

乳酸菌はお腹の中を整えてくれるわたしたちの味方で、たくさん種類があるけれど、摂る種類と摂り方が自分の体に合っていれば、もっと健やかで美しくなれる、というお話です。

 

 

そしてもう一つ重要なのは、摂取した乳酸菌は腸に留まってくれないので、毎日続けるということ。

 

 

では、これからも乳酸菌と腸活についての、有益な情報を発信して参りますので、次回もどうぞお楽しみに!