第30回〜腸を汚す料理、腸を洗う食材。
体に良い食べ物。
目に良い食べ物。
肌や髪に良い食べ物。
そんな情報は、ネットにもテレビにも書籍にも溢れかえっています。
このコラムでも、腸に良い食べ物をさんざんご紹介してきました。
読者の皆さまにとっては、もう耳にタコができるような情報でしょう。
けれど、どんなに良い食べ物を取り入れても、それが消化・吸収される腸内の環境が悪ければ、どうでしょうか。
腸壁が汚れていると、せっかくの栄養もきちんと吸収されません。
腸壁の汚れとは、つまり消化しきれずこびりついた食べ物のカスが、腐敗した状態です。
体に良いはずがありませんね。
なぜこんなことが起こるのか。
それについては、フランク・ラポルト=アダムスキーという、イタリア在住のフランス人自然療法士が詳しく研究しています。
結論から言うと、消化に時間のかかる食べ物と、短時間で消化される食べ物を同時に摂ることで、消化が滞り、何倍もの時間、腸内に留まってしまうからなのだそうです。
彼は、排泄の回数よりも重大な問題は、排泄される食べ物が古いことだと言います。
つまり、消化に時間がかかりすぎ、何日も前の食べ物が体内に留まっている状態の方が、便秘で排泄の回数が少ないことより問題だと言うのです。
速い食べ物、遅い食べ物、どちらでもない食べ物。
アダムスキー博士は、食材が消化される時間を、細かく徹底的に研究しました。
そこで、30分~2時間で消化される食材を「ファスト」、
消化に8~10時間かかる食材を「スロー」、
そのどちらでもない食材を「ニュートラル」
と、カテゴライズしました。
そして、「ファスト」と「スロー」を組み合わせた料理を、消化にとってNGだと提唱しているのです。
ファストの食材はファスト同士、スローの食材はスロー同士で組み合わせて食べることで、腸壁に汚れを残さずすっきりと消化されるというわけです。
では、どのような食品がファストで、スローで、ニュートラルなのでしょうか。
簡単に言うと、
ほぼすべての果物と果実ベースのお酒(ワインとグラッパを除く)、はちみつ、メープルシロップ、ヨーグルト、緑茶、トマト、かぼちゃ、パプリカ、唐辛子、カレー粉などパプリカ由来のスパイスが「ファスト」。
ファスト以外のほぼすべての食品が、スロー。
たとえば、ほぼすべての野菜(玉ねぎ、ナスを除く)、穀物、動物性・植物性のタンパク質、ナッツ類、海藻類。
つまり、わたしたちが「栄養がある」と認識して摂取しているほぼすべての食品は、スローに分類されるわけです。
ニュートラルに該当するのは、油、酢、にんにく、玉ねぎ、ナス、パプリカ由来を除くスパイス、ワイン、ビール、コーヒー、紅茶、牛乳、砂糖、ビターチョコレート(ミルクチョコレートは除く)。
食べ物は、40時間も体内に滞在する。
食べた物は、その4~5時間後に胃を出て、十二指腸に達します。
ここからさらに7~9時間かけて、小腸で消化されていきます。
次に大腸に入り、「蠕動運動」と呼ばれる筋肉の収縮で押し進められ、直腸を通って肛門へとたどり着き、排泄されます。
そこまでの所要時間、実に40時間!(もちろん個人差はあります)
規則正しい食生活をしている人の場合、朝食が十二指腸に達したあたりで昼食を食べ、それが十二指腸に達したあたりで夕食を食べ、そのころにやっと朝食が大腸にさしかかるという流れです。
つまり、どんなに定期的に健康的な食事を摂っていたとしても、わたしたちのお腹の中には、最大5~6回分の食事が滞在しているというわけです。
そこで、消化の速い食物と、遅い食物を同時に摂ると何が起こるのでしょうか。
体内にある消化管は当然一本だけですから、速いスピードで追ってくる食材があったとしても、遅い食材が道を譲って追い越させることはできません。
つまり、食物の渋滞が起こります。
そのせいで、腸全体の流れが悪くなり、食物は徐々に腸の壁に貼りついて、腐敗が進んでしまいます。
この汚れは徐々に厚くなり、腸管の通り道は狭くなり、毒素が溜まっていきます。
こんな状態で、どんなに「体に良い食べ物」を食べたところで、その栄養が十分に吸収されるわけがありませんね。
しかし、先ほど申し上げた「ファストとスローは組み合わせてはダメ」の原則に基づくと、トマトソースのパスタやピザ、タンドリーチキン、フルーツタルトなど、とてもおいしいものがNGメニューになってしまいます。
これはちょっと受け止めづらい情報ですね。
しかし、永久に食べてはならないと言っているわけではありませんので、ご安心を。
これらのスロー×ファストのメニューをいただくときは、
「いま大変消化に負担のかかるものを食べたのだ」
と認識し、次の食事までの時間をしっかり空け、スロー×ファストのメニューを続けざまに食べないよう気をつけるだけでも、腸内環境は格段に改善するそうです。
ちなみにニュートラル食材は、スローとファストのどちらと組み合わせても負担にならない、便利な食材です。
覚えて活用したいですね。
行き場を失くした毒素は、どこへ行く?
消化器官の内側に汚れが貼りついて、腸管が狭くなったところに、体に良いからとどんどん食べ物を送り込んでも、追越車線のない腸管内では、渋滞がひどくなる一方。
そんなとき「行き場を失くした毒素」は、どこへ行くのでしょうか。
出口に向かえなくなった毒素は、本来出てほしくないところから出ようとします。
たとえば皮膚。
皮膚炎やヘルペスといった形で排出されてしまうのです。
肺に行くと喘息やアレルギー。
また、喉や鼻に行くと副鼻腔炎や頭痛になって現れ、背中や腎臓に行けば腰痛、膀胱炎などを発症するのだそうです。
では、どうすれば良いの?!
と、頭を抱えてしまいそうになりますね。
でも、大丈夫。
対策は簡単です。
まずは、消化器官内にすき間を作るために、食事の間隔をしっかりと空けましょう。
アダムスキー博士は、「4時間以上」と提唱していますが、余裕のある方は、もっとずっとたっぷり空けて空腹を堪能してください。
消化器官を空っぽにすることで「休憩時間」を与えれば、わたしたちの胃腸は自力で浄化作用を起こし、徐々に汚れを取り除いて、ちゃんと元通りに戻ろうとしてくれます。
腸の洗浄剤で、輝く腸を取り戻す!
こびりついた「腸壁の汚れ」を落とすのに、効果的な食材が果物とオイルです。
果物では、特に柑橘類が有効だそうです。
または、トマトやパプリカといった「ファスト」に分類される野菜も。
オイルはあくまで、非加熱のもの。
エクストラバージンオリーブオイル、アマニ油、ココナッツオイルなどですね。
カロリーは気になるかもしれませんが、洗浄目的で摂るオイルは、意識してたっぷりめにいただきましょう。
腸内が汚れていることの方が、よほど体に悪いし、肥満の原因になるのですから。
オイルをたくさん摂ることが苦手な人には、カプセルに入ったサプリメントも出ています。
腸を元気にする乳酸菌サプリメントとともに、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
今回は、食べ物を消化にかかる時間で分類し、腸内をすっきりとさせ、元気に働いてもらうための食べ方を意識しようというお話でした。
腸のはたらきは奥深く、わたしたちの体と心に多大な影響を及ぼす最重要器官ですから、まだまだたくさんお届けしたいお話があります。
次回もどうぞ、お楽しみに!