第1回〜知ってるつもりで意外と知らない乳酸菌のこと

 

 

心と体の健康を司るという、大切な腸。

その調子を整えることが、健やかな毎日にとってとても大事ということは、皆さんご存じでしょう。

そのために、朝のヨーグルトやお味噌汁を習慣にして、発酵食品を積極的に取り入れたりしている方も多いと思います。

しかし、それらの乳酸菌はどこへ運ばれ、どのようにはたらいているのでしょうか。

 

 

食べた乳酸菌、腸に届く前に死んでしまう?!

 

乳酸菌を多く含む食品

 

毎朝食べているヨーグルト。

毎晩食べているぬか漬け。

発酵食品は大好きだし、毎日の乳酸菌補給はばっちり!

ですが、ほとんどの乳酸菌が、腸に届く前に胃酸で死んでしまうってご存じですか?

 

だからこそ、わざわざ「生きて腸に届く」とうたう商品がたくさん出ているのです。

 

とはいえ、死んでしまった乳酸菌「死菌」は役に立たないのか、というと決してそうではありません。

死菌の中にも、腸内環境を整えるはたらきをするものはあり、免疫を高めるものもあるので、摂り続けることは大切です。

 

何よりも、生菌であれ死菌であれ食べた乳酸菌は、腸内に先住菌がいるため、腸にとどまって住み着いてくれることがありません。

 

それで、毎日摂り続ける必要があるのです。

 

 

乳酸菌は良いものだけど、乳酸は悪いもの?

 

 

そもそも乳酸菌とは何か、ご存じですか?

それは、“ブドウ糖や乳糖などの糖類を発酵してエネルギーを作り、多量の乳酸を作る菌”の総称です。

 

ヒトの体内にも多くの種類の乳酸菌が常在菌として存在しており、種類によって棲んでいる場所が違います。

ヒトの体内に棲む乳酸菌は、各種ビフィズス菌、アシドフィルス菌で、「善玉菌」という呼び方がよく知られていますね。

 

さて、乳酸菌が体に良いイメージなのに対し、乳酸って悪いイメージがありませんか?

 

「疲労物質」などと呼ばれていたこともあり、「乳酸が蓄積すると筋肉が疲労する」なんて聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

しかし、乳酸とはエネルギーを作るため糖を分解するときにできる生成物。

 

これが疲労の原因などと言われていましたが、実は乳酸はミトコンドリアを通しエネルギー源として再利用され、30分もすれば消えます。

 

心臓を動かす筋肉や、脳のエネルギー源にもなり、決して蓄積されません。

 

疲労物質などではなかったのです。

 

 

合う乳酸菌、合わない乳酸菌

 

 

前段で「乳酸菌とは、ブドウ糖や乳糖などの糖類を分解して乳酸を作る菌の総称」と書きましたが、ではその種類はどのくらいあるのでしょうか。

乳酸菌の名前は「属・種・株」の順に表記されるのですが、現在までに命名されている乳酸菌は26属、381種50亜種に分類されています。

 

たとえばヨーグルトに含まれる「ラクトバチルス属カゼイ種シロタ株」や「ラクトバチルス属ガセリ種LG21」などが知られています。

他に「ビフィドバクテリウス属アニマリス種BIO株」など、並べると目が回りそうな複雑な名前ばかりで、とても覚えようがありませんが、「ラクトコッカス属ラクチス種JCM5805株」が「プラズマ乳酸菌」と呼ばれるなど、呼びやすい名前が付いているものもあります。

 

人それぞれ、どんな乳酸菌が体内に棲んでいるか違います。合う乳酸菌も違うということですね。

 

 

乳酸菌とそのエサはセットで摂る!

 

プレバイオティクスの例(食物繊維・オリゴ糖)

 

1989年、「腸内常在菌のバランスを変えることにより、宿主に保険効果を示す生きた微生物、またはそれを含む食品」が「プロバイオティクス」と定義されました。

すでに論文でも、プロバイオティクスの機能として整腸作用や発がんリスク低減、免疫能調整作用、アレルギーの低減、血圧効果など、さまざまな作用が期待値も含め展開されています。

 

そして、そんな乳酸菌が元気にはたらくために必要なのが、そのエサ。

プロバイオティクスをはたらかせるためのエサを、プレバイオティクスと言います。

 

「プレ」はプレオープンなどのプレで、「前に、先立って」という意味の英語です。

 

現在までにプレバイオティクスとして認められたのは、オリゴ糖や食物繊維の一部です。

これらを摂ることで、乳酸菌、ビフィズス菌が増殖、促進されるのです。

 

乳酸菌を食事で摂るならば、同時にオリゴ糖や食物繊維の豊富な食品を摂る必要がある、ということが分かりますね。

 

 

善玉菌って、乳酸菌のこと?

 

 

腸内には1000種類、100兆個もの細菌が棲みついていることがわかっていますが、それらを善玉菌、悪玉菌、日和見菌と呼び分けることがあります。

 

善玉菌は、食べたものの消化や吸収を助けたり、免疫を刺激したり、ヒトの健康維持、老化防止を助けてくれるうれしい菌。

 

逆に悪玉菌は、からだに悪い影響を及ぼすとされます。

 

日和見菌は、健康な時はおとなしいけれど、からだが弱ると悪いはたらきをするもの。

 

その中で、乳酸菌は善玉菌の代表格です。

 

ほかにも、各種ビフィズス菌があります。

赤ちゃんの腸内はビフィズス菌がいっぱいで、ほぼ善玉菌だそうです。

離乳食が始まり、いろんなものを食べ始めてから悪玉菌も増え始めるのだとか。

 

しかし、成長とともにいろんなものを口に入れて舐めながら、徐々に免疫をつけていくのだそう。

床に落ちているものを何でも口にしてしまう赤ちゃんは親をハラハラさせますが、実は免疫のためには必要な行動なんだそう。

 

うまくできていますね。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

今回は、コラム連載1回めということで、乳酸菌の基礎知識を詰め込んだため、ちょっとカタイ話が多かったですね。

次回からは、もっとワクワク楽しんでお読みいただける内容を増やしてまいりますので、お付き合いいただければ幸いです。

 

楽しく読んで、腸の健康に詳しくなれる。

そして自然に、整腸習慣が身につく。

 

そんなコラムを目指します。

 

ごいっしょに、“ちょう美人”を目指しましょう!