実践!五行説によるセルフカウンセリング

自然を利用し自然と一体となることを学んだ日本人

先日、あるアメリカの著名な女優が書いた本(医学とは関係のない)を読んでいると文章の一節に

「日本人の自然を愛する質実剛健な感覚は、私の心を深く揺り動かした。

日本人にとって我々西洋人の様に自然を征服すると言う様な事は、とうてい考えず、彼らは自然を利用し、自然と一体となる事を学んだ」

と言う内容がありました。

(『アウト・オン・ア・リム(角川文庫)』シャーリー マクレーン(著))

 

先の九州地方を襲った豪雨災害もそうなのですが、私たちの先祖は、大昔から台風などによる豪雨災害や巨大地震をはじめとする自然災害に幾度となく遭遇し、大自然から痛めつけられてきました。

その度に、人間は大自然を前にすると「無力」でしかないことを痛切に感じます。

だからこそ、日本人は「自然に戦いを挑む」姿勢ではなく、「自然を利用し自然と一体となることを学ばざるを得なかった」ということだと思います。

 

これはまさに、東洋医学の背景にある東洋思想だ!!と感動しました。

 

今回は、東洋思想を背景に生まれた「五行説」を、セルフカウンセリングに役立てていただきたいと思い記事にしました。

 

 

東洋思想の自然とは、自然に「溶け込み」、共に生きる為のもの

西洋医学、東洋医学の差とは「人間観」・「自然観」

西洋医学、東洋医学の差とは「自然観」「人間観」の差によるものが大きいと言われています。

 

先述の女優さんも言っていたように、西洋人は自然を「征服する」と表現する傾向があるようです。

例えば、

「エベレストを征服した」

「宇宙を征服した」

 

西洋では「人間」と「自然」は切り放され、「対立」、「征服」という位置関係としてみています。

 

 

それに対し東洋では、自然とは、自然に「溶け込み」、共に生きる為のもの。

人間は「自然」は、対立するものではなく、「自然」の一部として一体となった、決して切り放すことのできないものと考えています。

 

そこで医学においても、病気の部分を人体全体から切り離し、症状を「消す事」を優先して考える西洋医学に対し、病気を敵視せず、悪くなった部分にのみとらわれた対症療法も用いない、病気の背景(天候や環境など)も含めた『人体全体』を観るのが東洋医学の特徴なのです。

 

また人体は「小宇宙」とみなされるように、頭の先から爪先まで密接な繋がりをもっている有機的統合体。

 

五行説もそれを説いているものなんです。

 

 

 

巧妙な身体のつくり〜「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」

では、改めて図1を見て下さい。

 

図1

 

 

「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」と言う言葉は、ご存知ですね。

 

五臓(ごぞう)とは、「臓(かんぞう)、臓(しんぞう)、臓(ひぞう)、臓(はいぞう)、臓(じんぞう)」の事です。

図1では、上段に白抜き文字で表してあります。

 

 

次に六腑(ろっぷ)とは、「胆のう」、「小腸」、「胃」、「大腸」、「膀胱」それに「三焦(さんしょう)」と言われるものが加わり「六腑」となります。

三焦とは、東洋医学独特の「腑」であり、西洋医学で置き換えられる臓器・器官は未だによく分かっていませんので、ここでは掲載せず、五腑とします。

 

そして5つの感覚器官、「目」、「舌」、「口」、「鼻」、「耳」です。

 

 

一つの臓器がひとつのと、ひとつの感覚器官を「従えている」とイメージしてください。(図2)

 

図2

 

例えば、「肝臓」でしたら、「胆のう」と「目」を従えている。

 

「心臓」でしたら、「小腸」と「舌」従えている、ですね。

 

 

上の段の、「肝臓」「心臓」「脾臓」、「肺臓」、「腎臓)」→ 王様

下の段の、「胆のう」「目」「小腸」「舌」→ 家臣

という訳です。

 

「五臓」は、痛みやその他の感覚を表しませんし、また痛みや感覚に気付けません。

 

「目が痛い」とは言いますが、「肝臓が痛い」って感じたことありますか?

 

「胃がムカつく」、「胃がもたれる」とは言いますが、「脾臓がムカつく」、「脾臓がもたれている」という感覚になったこと、ありませんよね?

 

 

この様に、五臓は痛みや感覚を表しませんし、気付けません。

気づいた時には「手遅れ」と言う話も聞きます。

 

 

これは外敵(病)が責めて来た時、先ずは家臣が戦い、勝つか犠牲になるからです。

いきなり王様が犠牲になると、城(命)の存続に影響してしまいますね。

 

 

また、別の例えを言うと、五臓を赤信号、腑と感覚器官を黄色信号と観て下さい。

 

 

青信号から、急に赤信号になるとどうでしょう?

車は急に止まれませんので、事故を起こしてしまいがちです。

 

ですが、黄色信号があるお陰で、注意する事ができます。

止まる事が出来ます。

 

 

なる程こう観ると、身体は本当によく出来ています。

急に大病になるのでは無く、私たちに「気づいてね」のサインを出してくれているのです。

 

 

 

まとめ

小さな症状は身体からのサインです。

 

夏休みに入り、また最近はステイホームなどで、ご家族と一緒に過ごす時間が長くなりました。

 

なんとなく…○○の調子が悪い。

○○に違和感ある…痛い様な…etc

 

ご家族の方で、この様な言葉を口にされたら、是非この「五行説」を思い出してみて下さい。

 

そしてその症状を「消す」事だけに目を向けるのではなく、この五行説をもとにセルフカウンセリング、身体のケア(養生)が大事なのですね!