第25回〜冬便秘を引き起こす、隠れた真犯人。
夏が終わり、秋冬にかけて、どうしても太ってしまうという人は多いものです。
「食欲の秋だから」
「寒くなると動くのがおっくうで…」
という声はよく聞かれますが、本当に原因はそれだけでしょうか。
実は、寒い時期に太りやすくなるのには、ほかにもちょっと気づきにくい原因があるのです。
ここで、ヒント。
太りやすくなる寒い時期に、他に起こりやすいトラブルには何がありますか?
……たとえば肌荒れ、抜け毛、血色不良など。
それも、この時期の空気の乾燥や、寒さが原因で起こりやすいことなので、つい季節のせいにしがちですね。
しかし、それだけではないんです。
対処療法だけでは、万全ではないかも?
あなたは、寒い季節になって肌が荒れてきたら、どうしていますか?
少しリッチなテクスチャの濃厚なスキンケアに切り替えたり、保湿力の高いクリームをいつものケアに加えたりする方が多いことでしょう。
髪が抜けやすくなったら?
育毛シャンプーに変えたり、育毛剤や頭皮マッサージを取り入れたり。
顔色が優れないと思ったら、フェイスマッサージをしたり、血色良く見えるメイクをしたり。
それらはどれも、ある程度有効ですし、即時的な改善も期待はできるでしょう。
しかし、それでもなかなか改善が見られない場合、別の原因を疑ってほしいのです。
それは、「水分不足による排便の滞り」。
このコラムでも繰り返し申し上げていますが、健康な人の大便の80%は水分です。
つまり、体内に水分が不足すると、便を作るための大切な材料が足りない状態となり、正常に便が生成されません。
暑い時期は喉が乾きやすく、火照った体がクールダウンを求めて水分を欲するタイミングが、一日のうち何度も訪れますよね。
気をつけていなくても、自然に多くの水分を摂っている人が多いでしょう。
しかし、外気温が下がると体は冷え、水分をあまり欲しがらなくなります。
体を温めるために熱いものを飲むことはありますが、暑い日に冷たいものを飲むときほど、グビグビ、ゴクゴクとたくさん飲むことはないでしょう。
必然的に、一日に摂る水分量は下がりがち。
一日2リットル飲むのが理想ですが、真冬に2リットルなんて、よほど意識していなければ飲めません。
目覚めたばかりの空の胃に、いきなり食べ物を送り込んでしまうと、胃の消化活動が追いつかず、つい溜め込みがちになるといいます。
が、食事の前に水を飲んで、胃腸に動き始めてもらうサインを送ることで、消化率が上がります。
しかし、喉が乾きにくい秋冬には、そんなお水の飲み方も、意識していなければなかなかできませんね。
秋冬は、重ね重ね水分不足の隠れ乾燥状態になりやすいのです。
体内に水分が少ないため、スムーズに便が作られず、食べ物のカスや剥がれ落ちた古い細胞などの老廃物が体内に長時間滞在することにより、有害なガスや有毒物質が発生し、腸内の環境を悪くしていきます。
それらが肌のくすみやシミ、荒れ、髪抜けなどを引き起こすのです。
いくら表面から高価なクリームをスキンケアに加えても、根本的な解決にはならないわけです。
秋冬、水分はこう摂る!
しかし、どんどん寒くなる季節に、一日2リットルもの水分を摂れと言われても難しいですね。
2リットルの水のペットボトルをテーブルの上にドンと置くと、一日でこんな量は無理…とため息が出そうです。
そこで、寒くても水分を取りやすい方法を考えてみましょう。
まずは、温かいお茶を飲む。これは簡単ですね。
また、運動の後のスポーツドリンクを、お湯で割って飲むのもオススメ。
糖分を摂りすぎずに済みますし、体を冷やすことも避けられます。
夏ほど大量の汗をかかない冬場に、夏と同じ量の塩分も必要ないかも知れません。
スポーツドリンクはちょっと薄めるくらいが、ちょうど良いのではないでしょうか。
味のない水のほうが好きな方は、水の選び方にもひと工夫できます。
ミネラルウォーターを買うなら、硬水を選ぶというやり方です。
硬水はミネラル分が多く、腸内で吸収されにくいため、水分が長く腸の中にとどまって腸の中をうるおいで満たし、便をスムーズに作る助けになります。
たくさん飲めない季節こそ、少し飲みにくい硬い水を選んで、ゆっくり飲むのも一手です。
逆に、季節を問わずお腹が緩くて困っている人は、軟水を飲みましょう。
腸に長くとどまらずどんどん吸収されるため、便の水分量が増えすぎず、しっかりと形のある便を作る助けになります。
いずれにしても、お腹を下してつらい時に、硬水はNGですよ。
また、水分と言っても何も飲み物にこだわる必要はありません。
食事の時にスープやお味噌汁などの汁物を加えたり、パンよりご飯や麺、焼き物より煮物や鍋物など、水を加えて作るメニューを積極的にチョイスする、野菜や果物を積極的に食べるのも効率の良い水分補給法です。
正しい便づくりのために、よく噛んで食べましょう。
しっかりと水分を意識したメニュー選びをしたら、あとは食べ方です。
忙しい社会人はランチも早食いしがちですし、スマホを見ながらパンを齧るなど、あまり食事に集中できないことも多いでしょう。
しかし、特に最初の一口めを小さくして、しっかりと唾液が分泌されるまで100回を目標に噛んでみてください。
唾液の分泌が始まると、それに伴って体内では胃液などの消化液の分泌も促されるそうです。
「今から食べ物が入ってくるな」と察知した腸が、受け入れる準備を始めてくれるのです。
そうして受け入れ態勢が整った胃腸にゆっくり食べ物が降りてくることによって、あなたの内臓は最大限の力でそれらを消化してくれます。
理想的なスピードでゆっくりと消化し、適切に吸収し、腸の健康的な蠕動運動で押し流していくことにより、理想的なきれいな便が作られて行きます。
準備のないところにいきなり大量に放り込まれた食物は、消化しきれず溜め込まれがちですが、適正な速度で摂取すれば、食べても太りづらく、栄養の吸収も良いということです。
さらに、普段から発酵食品や乳酸菌を摂ることで腸内に善玉菌がたくさんいれば、それらの腸内活動はより理想的な状態で行われ、腸内の環境も美しく保たれます。
乳酸菌サプリを習慣づけ、こまめに水を飲み、噛みごたえのある食べ物をよく噛んでゆっくり食べる。
日頃のちょっとした心がけで、肌も髪も心も全身も整い、免疫力も上がる。やらない手はありませんよね!
今回は、寒い季節の不調の隠れた犯人「水分不足」に着目し、秋冬の健康と美を守るための水分補給の工夫についてお話ししました。
腸の健康は心身の健康。ぜひ整えて、元気に寒い時期を乗り切ってください。
では、次回も乳酸菌と腸活のお話を、楽しくお届けしますね!