第6回〜お通じと乳酸菌の親密な関係

 

 

毎日、快適なお通じはありますか?

今日のお腹の具合はいかがですか?

 

便秘も下痢も、腸が発信する不調のSOSサインです。

 

腸内細菌のバランスが乱れたり、精神的なストレスを感じたり、また感染症やアレルギーでも、それらの症状が現れることがあります。

他にも腸が不調を起こすと、お腹の張り、腹痛、げっぷ、おならが増えたり臭いがきつくなったり、激しく体重が増減したり、といったサインを発することもあります。思い当たる症状は、ありませんか?

 

今回は排泄物のお話になるので、お食事とは時間を空けてお読みいただければと思います。

 

 

腸の状態を知るには、毎日のうんチェック!

 

理想的な便は、黄土色のバナナ形と言われます

 

目視では観察できない腸内の環境ですが、便の色や形で、ある程度その状態を確認できます。

いちばん最近出した便を思い出してください。どのような色や形をしていましたか?

 

いわゆる「バナナ便」であれば、腸内細菌のバランスや、食べ物の消化・吸収スピードもちょうど良いと考えられます。

 

それよりも水分量が減ると、固くひび割れた様子の便になり、さらに減ると団子状の小さな便がくっつき合ったような形になり、さらにもっと水分が枯渇するとウサギのフンに例えられるコロコロとした小さな便になります。

 

逆に、水分が多いと柔らかく細切れの便になり、さらにドロドロとした下痢状になり、最もひどい場合はほぼ液状の便が出るようになります。

 

 

続いて色のお話をしますと、便の色は胆汁酸の色で決まります。

 

便が腸内に滞在する時間が長ければ長いほど、どんどん水分が抜けて、胆汁酸の色は濃くなります。

便秘の時の便が黒いのは、腸内に長く留まっていたからなのです。

 

反対に、腸内を素早く通り抜けてしまった便は、腸に水分を吸収されることなく出てくるので、薄い色をしています。

 

ちなみに石灰のような灰色の便や、赤色が混じった便、真っ黒い便が出ることもありますが、それらは少し深刻。以下の原因が考えられます。

 

灰色は、胆汁色素の流れが悪いサインで、胆石や胆嚢がん、肝臓がんの疑いがあります。赤が混ざったものは大腸の出血、表面だけ赤のは痔の可能性あり。真っ赤な便は大腸炎症やポリープの疑いがあります。

 

黒は消化管の上流で出血しているかも。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、がんなどが疑われます。

これらに思い当たる方は、ぜひ一度、病院にご相談ください。

 

さて、今回は便秘と軟便(または下痢)についてのお話です。

 

 

 

整腸の基本のキ。「スッキリ出す」!

 

腹筋に意識を集中して歩いてみましょう

 

腸の話となるとつい、乳酸菌や発酵食品など「腸に良い食べ物やサプリを摂る」といった、「入れる」ほうの話をしがちですが、今日は方向を変えて、「出す」ほうをメインに考えてみましょう。

とにかくスムーズに出すことこそが、整腸の基本です。

 

「出す」と一言で言っても、ただ出れば良いというわけではありません。

 

まずは食べたものの栄養をきちんと吸収する。

 

そのうえで余分なものを排出する。

 

そして理想は、適切なスピードでスムーズにそれが行われること。

 

前述したように、時間がかかりすぎると水分が抜けて便秘に、速すぎると栄養分がきちんと吸収されることなく、必要な水分やミネラル分まで出してしまう下痢になるからです。

 

ヒトの腸内環境は酸性です。正常に酸性の環境が保たれていれば、ウィルスや毒素の侵入を防げます。

健康な状態なら、いつもは善玉菌が乳酸や酢酸を作ってその環境を保っています。

アルカリ性を好む悪玉菌は、そんな善玉菌優位の環境下で、暴れ出すことはありません。

つまり、常に腸内環境を善玉菌優位にしておけば、腸は荒れにくいというわけです。

 

 

さて、お肉などのタンパク質には、窒素が含まれます。

窒素は悪玉菌のエサになるため、お肉ばかり食べたりプロテインを過剰に飲んだりすると、悪玉菌を増やしてしまいます。

腸内細菌の7割を占めるという日和見菌は、その時々で優勢なほうの味方をするため、悪玉菌が増えると腸内環境は一気に乱れます。

 

腸内にアンモニアが増え、お腹が張ったり、痛くなったり、強烈な臭いのおならが出たり…

つらいですね。

 

 

さらに、このような状態になると、倦怠感が出たり肌が荒れたり、体のあちこちに不調が出てくるので大変。

しかも、ひどくなると、血管が硬くなったり細胞が傷ついたり、動脈硬化やがんなどの重病まで引き起こしかねません。

 

そこで、お肉などのタンパク質を摂ったなら、乳酸菌や、善玉菌のエサになる食物繊維をたっぷり摂ってバランスを取ることが大切なのです。

 

 

さて、「出す」ためには食事も大切ですが、適度な運動、規則正しい生活、ストレスのない状態が必要です。

朝、ウォーキングやジョギングを始めて間もなく、便意をもよおしたことはありませんか。

正しい姿勢で、アクティブに体を動かすことで、腸も元気に動き始めるのです。

 

 

運動不足で腹筋が衰えることでも、腸の動きは鈍りやすくなります。便秘にお悩みの方は、普段の生活から腹筋にぐっと力を入れて、速足で歩いてみるのも良いでしょう。

 

ベルトの穴を縮めるようにお腹を凹ませたまま、その状態をキープするイメージです。

 

 

また、朝、起きた時の空っぽの胃に食べ物が入ることでも、腸の蠕動運動が始まります。

朝食を習慣づけると快腸になる人は多いと言われるのは、そのためです。

ただし、逆に朝食を摂らないほうが調子が良い方は、無理に食べなくて結構です。

 

 

ただ、日によって食べたり食べなかったりなど生活が不規則になると、腸はいつ働いて良いのか分からず調子を崩すこともあります。

生活スタイルを整えることが、腸を整えることにもなるんですね。

 

 

 

ヨーグルトは、日本人には合わない!?

 

「腸に良い。でも日本人には合わない。」はホント??

 

乳糖不耐症って、聞いたことがありますか?

 

牛乳やヨーグルトに含まれている乳糖(ラクトース)を、分解できる消化酵素(ラクターゼ)の分泌不足のことで、そういう症状のある人は「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」「お腹が痛くなる」「下痢する」といった反応が起こりやすいのです。

 

ゆっくり飲めば飲める人、少量なら平気な人、温めれば大丈夫な人などもいますが、大人になるとラクターゼが減少し、飲めなくなってしまう人もいます。

 

昔から乳製品をタンパク源としていた欧米の人と比べると、日本人にはこの乳糖不耐症の人が多いと言われます。

ですから「乳製品が体に合わない」と感じる人の割合が、欧米より多いのは事実です。

 

でも、ヨーグルトは乳酸菌の力で乳糖が一部分解されています。

「牛乳は飲めないけれどヨーグルトは食べられる」という人も実は多いのですが、それは乳酸菌のおかげなのです。

 

「ヨーグルトは腸に良い」、これは事実。

 

「ヨーグルトは日本人に合わない」、これは、そういう人が比較的日本人には多いというのが事実。

食べてもお腹がゴロゴロしない人は、整腸のためにもぜひ積極的に食べましょう。

 

味が苦手な人は、サプリメントで摂るのもおすすめです。

 

 

 

水の摂り方、考えていますか?

 

お水は「便の材料」。積極的に摂ろう

 

第2回「今日から始める! 腸活のいろは」でも申し上げましたが、健康な成人の大便のうち80%は水分なのですから、普段からしっかり水分を摂ることも重要です。

 

 

朝、目覚めたらすぐにお水を飲むと良いと、よく言われますね。

 

冷たいお水が良いのか、お湯が良いのか、湯冷ましが良いのかは専門家の意見もさまざまですが、ご自身の体に聞くのがいちばんでしょう。

 

 

温度がどうあれ、目覚めたばかりの空の胃にコップ一杯程度のお水を流し込み、今から動き始めるよ!というサインを送ることは、胃腸に今日も正常に活動してもらうために有効です。

 

そして一気に飲まず、1日に何度もお水を口にして、トータル2リットルは飲みたいものです。

 

それも、味のついた飲料でなく、なるべくお水やお湯で。

特に甘い味のついた飲料は、水分補給よりカロリー摂取の意味合いが強くなり本末転倒です。

 

そして特に、食事の最初の一口目は少量を口に含み、しっかりとよく噛んでゆっくりと飲み込むようにしてください。

 

何度も何度もよく噛んで、口の中に唾液をしっかりと分泌させると、それをきっかけに胃腸が食事の開始を知り、食べ物を受け止め胃液を分泌する準備を始めるのだそうです。

 

そこへ食べ物が入ってくれば、十分に準備のできている胃は「ようこそ!」と食べ物を受け止め、正しく消化吸収を始めます。

 

予告なしにいきなり大量の食べ物を送り込んでしまっては、胃もびっくりするんですね。

 

そのうえ早食いなどしてどんどん食べ物を胃に詰め込んでしまっては、胃腸の中で消化吸収しづらい状態が作られてしまうのです。

 

これが消化不良や腸の乱れ、また肥満の原因にもなると考えられています。

 

「よく噛んで食べましょう」と言われるのは、こんな理由からです。

腸が全身の健康の中核を担っていることを考えると、速食い・ドカ食いは、万病の敵と言えますね。

よく噛むことで満腹中枢への刺激が促されれば、食べ過ぎも防げて一石二鳥です。

 

スマホなど眺めながら惰性で食べず、食べ物をきちんと見ながら噛むことに集中し、咀嚼した食べ物を水で流し込まず、きちんと飲み込んでから箸を置いてお水を飲む、といった丁寧な食事を心がけたいですね。

 

 

 

下痢や軟便は水分の摂りすぎ?

 

意外なものが、下痢の原因になっているかも?

 

「下痢のときには水分を控えたい」と思う人もいらっしゃるでしょう。

確かに水っぽい便が出ているときは、あまりお水を飲む気になれないかもしれません。

 

しかし、そんな時こそ水分を補給しなければ、脱水症状になる恐れがあります。冷たい水を避けて、常温やぬるめのお湯をゆっくりと少しずつ飲みましょう。

 

飲む水の種類ですが、ミネラルウォーターにも硬水と軟水がありますね。

ミネラル分の多い硬水は、腸内で吸収されにくいため、水分が長く腸内に留まります。

 

便秘気味の人はこちらの水を摂ることで腸内水分量を増やすと良いのですが、下痢の時にはなるべく体への吸収の良い軟水がおすすめ

柔らかく飲みやすいお水を選びましょう。

 

下痢の原因として考えられる主なものは、食あたり(感染性胃腸炎)、水あたり、ストレス、そして消化不良。

 

古い食べ物や非加熱のものにあたったり、旅行先で慣れない水を飲んだり、という分かりやすい原因もありますが、脂っこいものや甘いものの食べ過ぎで消化不良を起こしたときも、下痢をする場合があります。

 

香辛料やカフェインなどの刺激物でも、胃腸の弱い人はお腹を下すことがあります。

常に下し気味という方は、食生活の見直しを図ってみては。

 

 

便秘や下痢などの腸の不調は、シミ・そばかすやニキビなどの肌荒れ、腰痛や肩こり、頭痛、腹痛を引き起こし、さらに放っておくと高血圧、大腸がんなど重大な病気にもつながりかねません。

 

体質だからと放置せず、思い当たるところ、またできるところから改善することをおすすめします。

 

不規則なライフスタイルや食事の仕方を急に改善することが難しいなら、まずは乳酸菌サプリから取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

今回は、人前ではちょっと話しづらい、お通じのお話でした。お通じは、年中無休で1日に何度も行う大切な生活行動ですから、そこに不具合が生じると、生活全体が大きくダメージを受けます。

 

だからこそ快適な状態を維持して、日々の暮らしを大切な物事に集中できる状態に整えたいですね。

 

腸を整えることは、人生を整え輝かせること、と言えるのかもしれません。

 

 

 

では、次回も乳酸菌と腸活の興味深いお話をお届けしますので、どうぞお楽しみに!