健康寿命にも影響する「温泉」は立派な医療?
山装い、寒さが身に染みる今日この頃。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
Go Toトラベルキャンペーンで、どこか旅行に…?
この季節は「温泉」が恋しくなるもので、良い温泉旅行に行きたいものです。
日本人と温泉の関わりは古く、長野県ではなんと6000年前の縄文人の温泉跡が発掘されている程です。
さらに、日本に仏教が伝来すると、様々な経典が持ち込まれましたが、その中には「温室経」(うんじつきょう)と言う、温泉、入浴に関するお経もありました。
入浴する事により、功徳が得られると言う内容です。
また、温泉は昔から「若返りの湯」とも呼ばれていました。
「温泉」が立派な医療である事を、また大病になる前の「予防医療」である事を様々な方が説かれています。
トトノエ健康堂の願いでもある「健康寿命」を伸ばすと言う視点から見ても、「温泉」はとてもオススメなのです。
そこで今回は「温泉」について、書いてみたいと思います。
そもそも「温泉」とは??
そもそも、「温泉」とは何なのでしょうか?
温泉について定めた法律(温泉法)によると、下記の3つの条件のうち、一つでも当てはまれば「温泉」と定義されます。
温泉の定義
地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、次に掲げる温度または物質を有するものをいう(第2条第1項)。
1. 泉源における水温が摂氏25度以上(摂氏25度未満のものは、冷泉または鉱泉と呼ぶ事がある)。
2. 以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む。(温泉法〜Wikipediaより引用)
温泉のメリット
では、温泉に入ると得られる効果を見てみましょう。
温泉には「浮力効果」「水圧効果」など様々な効果がありますが、ここでは特にお伝えしたい効果をあげてみます。
①抗酸化作用
「酸化」と言う言葉を聞かれた事はありますか?
アンチエイジングに余念の無い方なら、「酸化」と言う言葉は当然おありでしょう。
酸化とはーー
酸化反応は、最も身近な化学反応である。
対象とする物質が電子を失う化学反応のこと。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応などである。
食物を室温で放っておくと徐々に色や味が変わってくるのも、酸化が原因のことが多い。このため、食品には種々の酸化防止剤が用いられる。またパッケージも空気を通さないように工夫され、場合によっては脱酸素剤を入れておくこともある。
(引用:Wikipedia「酸化」)
林檎や梨、大根など切ってそのまま放置しておくと、表面が空気に触れて茶色くなってきます。
この現象が「酸化」です。
鉄の釘など想像して下さい。
かなりの年月が経った釘はサビていますよね?
これが「酸化」です。
私たちの体も、酸素に触れる事で日々「酸化」しているのです。
老化のスピードは、この「酸化」のスピードが原因と言われています。
体を酸化させる物質「活性酸素」
私たちは、呼吸することによって酸素を取り入れています。
細胞が酸素を使って栄養分を分解し、生きていくためのエネルギーを作り出しているのです。
その時の過程で、一部の酸素が体内を錆びさせる「活性酸素(フリーラジカル)」になります。
生きていくうえで、酸素は必ず必要なものになります。
しかし、呼吸以外に生活環境、生活習慣(紫外線、食品添加物、アルコール、ストレス 等)により、「活性酸素」を増やし過ぎる傾向にあるのです。
体にはこの「酸化」に対抗する「抗酸化作用」が備わっているのですが20代をピークに徐々に低下し、40歳を過ぎた頃からは急激に低下すると言われています。
体の衰えた抗酸化力を上げ「抗酸化能力を保ち続けていくこと」により、加速した老化現象を抑え、健康寿命を高める事が見込まれるのですね。
そこで、温泉の登場です!!
温泉に入るとこで、抗酸化力が上がると言われます。
厳密に言うと、抗酸化力を有する温泉が体内に入り、細胞の錆びを除去、抑制してくれるのです。
温泉には酸化を還元化する力があるのです!
しかし、残念ながらどの温泉でもと言うわけでは無く、温泉のあり方(掛け流し、循環式 等々)によって、その還元力に違いがあります。
昔から湯治で栄えた温泉地の温泉は、還元力が高いのではないでしょうか?
②温熱作用〜血行が良くなる
体をじわじわ温める事で、体内の血流が良くなります。
この「じわじわ」と言うのがポイント。
お肉や、焼き芋をイメージして下さい。
中までじっくり火を通そうとすると、低温で「じわじわ」温める事が必要となります。
高温で焼くと、中に熱が入り込む前に表面が焦げてしまいます。
体も「じわじわ」温める事で、末梢部はもちろん、体内の深部の血流も良くなり新陳代謝を促進。
良い作用をもたらします。
「骨の髄まで温まる〜」この感覚が、大事なのですね。
ヒートショックプロテイン(HSP)
低温で温める事で、体内のHSPが活性化します。
HSPとは、熱の刺激により活性化するタンパク質の事です。
近年、研究でこのHSPは様々なメリットが解っています。
・血糖値が下がる
・免疫細胞の活性化
・細菌、ウィルスを攻撃する
・炎症を抑える
・中性脂肪が減少する
・シミ、シワが減少
・酸化物質の無効化
良い事だらけですね!!
③転地効果
コロナ禍の中、家から出られない事にストレスを感じた方は多いのではないでしょうか?
どこでもいいから行きたい、とにかく場所を変えたい!人は無意識に場所を 変えることによる効果を知っているのでしょう。
それが「転地効果」(環境効果)です!
いつもと違う環境に身を置く事で、五感が刺激され、精神的にも肉体的にもプラスに作用する効果です。
これはストレス解消に、とても影響します。
生活圏内より、100キロ以上離れた場所に、4〜5日。
普段と逆の環境や、自然が多い環境が効果的と言われます。
ちなみにオススメは
うつ気味の時は「海」。
波の規則正しいリズムにより呼吸が整い、精神も整います。
イライラや神経過敏気味の時は「山」「森」。
自然の木や植物に囲まれた環境は波動が整っています。
自然に身を置く事で、身体の乱れた波動を整えてくれる作用があるそうです。
温泉地を選ぶ際の、参考にしてみて下さい。
また温泉地では「三浴」すると尚良し、と言われます。
「三浴」とは温泉浴、森林浴、日光浴です。
④心を洗い、温める
「温泉とは心を楽しましむべし」
『養生訓』で有名な貝原益軒はこう残しています。
また、昔はお寺や神社などのお参りの前に、心身の穢れを落とす目的で温泉に入っていく習慣がありました。
理屈は抜きで、温泉とは体だけで無く心を洗い、楽しくさせてくれる作用があるのでしょう。
泉質別特徴
温泉の泉質を説明する欄に、「〇〇泉」とあるのを見た事はありませんか?
ここでは簡単にそれぞれの特徴をまとめてみます。
①単純温泉
・溶存成分が1Kg当たり、1000mg未満。
・源泉が25℃以上ある温泉。
・刺激は弱く穏やか
②塩化物泉
・保温効果があり、よく温まる。
・穏やかな作用で、高齢者や病気後に適している。
☆「熱の湯」
③炭酸水素塩泉
・炭酸水素塩水(重曹泉)は、皮膚からの放熱を高め清涼感をもたらす。
・肌がスベスベする
☆「美人の湯」
④硫酸塩泉
・陽イオンの種類(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム)によって、若干効果に違いがでる。
・塩化物泉とほぼ同様とされる。
☆「美肌の湯」「傷の湯」
⑤二酸化炭素泉
・浸かると肌に気泡が付着する→汚れが泡と共に落ちる
・抹消血管を拡張させる効果→心臓に負担をかけずに全身の血液循環を良くする、血圧を下げる。
・低温であるが、保温効果がある。
☆「心臓の湯」
⑥含鉄泉
・空気に触れると、赤褐色に。
・よく温まり、造血作用もある。
⑦酸性泉
・ほとんどが火山性。刺激が強い。
・殺菌作用が強い。酸度が高いと肌にしみる。
☆「傷の湯」
⑧含よう素泉
・古い時代の地下に埋れた海藻に由来。
・飲用により、総コレステロールを抑制。
・甲状腺機能亢進症の方は禁忌。
⑨硫黄泉
・強い殺菌作用がある、刺激的な湯。炎症反応を抑制する。抗アレルギー作用。
・低濃度の温泉では、疼痛、かゆみを鎮める。
・肌の脂を取る脱脂作用。
・抹消血管を拡張、皮膚の血流量を増やす。
☆「傷の湯」
⑩放射能泉
・抗炎症作用、鎮痛作用。
・吸入による呼吸器疾患にも有効。
・免疫作用を高める
・抗酸化作用の活性化
効果的な入浴法
先に登場した貝原益軒。
温泉も大好きで、紀行文も書いています。特に有馬温泉はお気に入りだったとか。
益軒は温泉の入浴法についても細かく記していますが、それと共に、いくつか入浴の際に注意する事をあげてみますので、参考にしてみて下さい。
食後よし
食後に入るのが良いとされています。
食後でなくても、空腹時は避けるべき。
欲張って入浴しない
益軒は体力がある病人は、一夜に三度。
弱い病人は一二度をよしとする。
と、言われます。
入浴時間
汗が出るほど、長時間の入浴はさけ、軽く入るべし。
と、言われています。
入浴中に汗をかく事は、一番避けるべき。(汗と共に「気」ももれてしまう為)
体を温めすぎてはいけない、と説いています。
入浴後の保温を忘れずに
湯上がりは、体がポカポカ。
つい薄着で過ごしたり、風に当たりたくなるもの。
しかし、それは一時的に寒さを感じにくくなっているので、知らない間に湯冷めをして風邪をひいてしまっては折角の温泉効果も台無しです。
入浴前後の水補給
汗を流すまでいかなくとも、体内から水分は失われるものです。
水の補給を忘れずに。
また新鮮な温泉であれば、飲む事も可能な温泉もあります。
行かれた温泉にそれが設けてあれば、是非活用してみて下さいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
733年『出雲国風土記』には
一たび濯(すす)げば、形容端正(かたちきらきら)しく、再び沐(ゆあみ)すれば、万病悉(ことごと)く除(い)ゆ。
と、玉造温泉の事を記してあります。
心と体を癒し、元気にし、美しくする「温泉」
機会があれば是非、良質な温泉へお出掛けしてみはいかがでしょうか?